2025年度AR十傑上位のうち海外派遣経験が無い5名を学連派遣としたほか、今回は自費参加希望が10名もあり、その中からAR順位で5名を選抜して、過去最多の選手10名と団長が韓国瑞山市に向かいました。
当初は3月18日(水)から日曜を挟んで現地に7泊8日(前回よりも1日延長)の予定でしたが、年明け後に韓国内の選考会が3月中旬から始まることが決定したため、3月1日までNTCで行われた強化指定選手選考記録会に参加する学生も多いなか、その翌日に出発する6泊7日の日程に変更しました。
3月1日(日)
成田空港の近くに団長と選手9名、関西空港の近くに選手1名が前泊しました。関西空港には溝部選手育成委員長が見送りに行きました。

3月2日(月)
成田/関西空港のロビーに6:30集合、税関で銃器の検査を受けて出国し、成田9:00発・関空9:15発の飛行機で飛び立ちました。昼過ぎに仁川国際空港に到着し、冷たい雨と強風が吹き荒れるなか、韓国射撃協会の方が運転するバスで瑞山市の射撃場に到着したのは16時頃。銃を保管庫に預けて、車で5分ほどのBenikea Hotel Seosanにチェックインしました。

3月3日(火)
瑞山チームは再来週からの遠征に向けて弾薬や備品の整理に忙しく、学生たちは射場に慣れるため各自練習。小野団長が適宜指導しました。
日本を出発する前に、各選手のプロフィールシート(氏名、使用銃、今年度のベストスコア、自身の課題を箇条書きにし、韓国語に翻訳したもの)を瑞山に送っていました。瑞山の監督・コーチとも目を通して下さっていて、それを踏まえた練習計画を瑞山監督と小野団長で話し合いました。ARで625点前後は韓国の中学3年生~高校2年生のレベルである。選手たちが挙げている課題を見ると、基本的な指導を受けていない印象を受けるなど、手厳しい意見を頂きました。
前回までもお世話になっている忠南市射撃協会の会長がお見えになり、夕食はサムギョプサルをご馳走になりました。
3月4日(水)
全員ARに集まり、瑞山監督の指導を受けました。点数を出したい意識が強いために、基本的なことを疎かにしているように見える。ジュニアの時に習ったことをそのままやり続けるのではなく、基本的な技術を1つずつ点検して改善すること、下半身や体幹を強化するために筋力トレーニングに取り組むことなどをアドバイスしていただきました。
中国のように1人のコーチがジュニアからずっと指導して、その選手が引退したらまた次のジュニアを指導する体制が理想だが、日本や韓国は進学・就職のタイミングで指導者が変わります。瑞山にも様々な地域から選手が集まるので、最初の1~2年は基本からやり直して悪い癖を抜くために費やされるそうです。
韓国では日本のような部活動や趣味では銃を持てず、才能のあるジュニアに対して、コーチ資格を持った指導者が教育委員会から高校や大学に派遣される体制でもそうなのですから、日本における各都道府県や高校の指導体制、そのなかから大学に進んだ選手の指導体制には課題山積と感じました。
瑞山チームは最新の射撃理論に即した指導を重視している印象で、Heinz Reinkemeier氏のYouTubeチャンネルや書籍「Rifle Training」を参照することを勧められました。


3月5日(木)
午前中は、瑞山の選手5名と一緒にARの記録会をおこないました。瑞山の選手は直近2か月ほど筋力トレーニング期間でほとんど撃っていないということで、1位・2位は瑞山の629.8点と627.6点、3位は野田の625.2点でした。
午後は瑞山の選手から個別に指導を受けました。双方とも最初は遠慮がちでしたが、次第に選手から質問が出て、それに応える形で熱心に指導していただきました。

3月6日(金)・7日(土)
前日に続きAR・SBで個別に指導を受けました。瑞山の選手は公務員なので土曜は休みなのですが、7日(土)も指導のために射撃場に来て、17時過ぎまで丸一日、練習に付き合ってくれました。
忠南市射撃協会の会長からお土産に高級韓国海苔をいただき、射撃場前で集合写真を撮りました。選手間で連絡先を交換し、別れを惜しみました。

3月8日(日)
朝7時過ぎにホテルを出発し、射撃場の保管庫から銃を出して、仁川国際空港に向かいました。日曜の朝でしたが渋滞も無く10時までに空港に到着。それでも、銃を税関に通して預けるのに時間がかかるので、出国したのは成田行き搭乗開始時刻の30分前でした。
成田行きは13:15発の飛行機で17時前に解散。関空行きは出国後しばらく待って15:10発の飛行機で17:30過ぎに解散しました。飛行機に乗っている時間は短いのですが、輸出入の手続きに時間がかかります。AR・SBとも弾は持って行かずに瑞山チームに提供していただいているので、これで弾の輸出入手続きが加わったら時間的に厳しくなりそうです。
総括
過去の韓国合宿経験者が、その後の大会で活躍しているため、自費参加希望が増えたものと思います。今回の参加選手は皆、1-2年生ですので、今後の活躍が一層期待されます。
昨年や一昨年は、瑞山の選手と一緒に忠南市のスポーツセンターに体力測定に行ったり、ジムでの体力トレーニングについて行ったり、射撃場に瑞山市長が来てケーブルTVの取材を受けたりしましたが、今回はそれらのイベントが無くて変化に欠けるぶん、ずっと射撃場で練習して指導を受けられたので、従来以上に濃い内容になったと思います。
その一方、選手10名の大所帯では瑞山チームによる指導も分散しますので、参加人数はこれが上限で、これより少人数の方が、個々人が得る効果は高まると思われます。希望する選手をできるだけ行かせてあげたいので、そのバランスが難しいところです。
参加者の感想
立命館大学 森岡俊充
今回の合宿で、韓国と日本のレベルの差を強く感じました。学連試合で男子ARは620点を超えればファイナルに出場できるので、目標を620点に置いて、それを超えると喜んでいました。しかし瑞山の監督から、それでは韓国の中学~高校レベルと聞いてから、自身の中で満足できる点数の基準が高くなりました。帰国後すぐに参加した大学の春合宿では620点を下回らず、平均得点が3~4点上がって625点で安定するようになりました。
次に、体格の差を感じました。日本のトップ選手でも、瑞山の選手ほどの体格を持っている選手は少ないのに、ましてや私たち大学生のほとんどが細身でした。瑞山の選手の、こんなに安定していれば630点を容易に撃てそうと感じる射撃姿勢を目の当たりにして、これからは実射練習だけでなく、ウエイトや体幹のトレーニングをしていこうと考えました。
今後は国内大会で勝つための練習ではなく、世界大会のレベルを目標に練習に励みます。大学1年生の早い段階でこの合宿に参加できたことで、620点で慢心したままこれからの大学3年間を棒に振ることなく、もっと高みを目指すことができ、とても有意義な合宿でした。また、射撃に対する思いが強い、他大学のトップレベルの選手たちと仲良くなり、切磋琢磨しあえる良きライバルを得られたことも、この合宿に参加した価値になりました。
参加メンバー
| 団長 | 小野 広人(連盟理事、競技普及委員長、関東副支部長) |
| 選手 | 小林 弥来 (明治大学 1年) 萩原 結人 (中央大学 1年) 藤田 琴子 (中央大学 1年) 小谷野 夏希(明治大学 2年) 平野 佳那 (関西大学 2年) 大山 誠道 (明治大学 2年) 長屋 光珀 (明治大学 2年) 森岡 俊充 (立命館大学 1年) 野田 朋花 (立命館大学 1年) 山田 音緒 (明治大学 1年) |
